【鶴の湯だより 2004.5.13配信 NO95より】
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鶴之助独り言(大河新撰組に思う2)
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NHK大河「新撰組」視聴率は今ひとつ伸び悩んでいるようですが、若い人達には人気があるみたいですね。
確かにテンポもよくて躍動感があって面白い。
さすがは三谷脚本です。
でも、近藤、土方はいささか現代風にアレンジし過ぎかな..
凄味というか迫力が足りない。(鶴之助の私見です)

うちのつる爺も「役者があかん!佐藤浩市に近藤をやらせろ」なんてえらそうに単純なこと言ってます。(確かに佐藤芹沢は主役の香取近藤をくってしまってます)
役者というより、演出、役作りの問題だと思うんですが。

しかし前々回「はじまりの死」で、爽やかな近藤勇を維持するあまりに殿内義雄暗殺犯人を、芹沢鴨単独犯にしてしまうところはチョットいただけません。

殿内暗殺は史実では、近藤一派による仕業なんですから。
これは近藤が郷里に宛てた手紙で、はっきりと「殿内を四条大橋で討ち果たした」と告白しています。
歴史ドラマなんですから史実を勝手に変えてはいけませんナ。
知らない人が見たら、ウソの新撰組史をそのまま鵜呑みにしてしまいますよ。

少しダンデイすぎますがアウトローで滅びの美学を感じさせる芹沢鴨、細身で繊細ながら文武両道の山南敬助眠り猫のような表情が面白い新見錦脇役陣は中々個性的でリアリズムがあります。
面白くて楽しめるドラマとしては文句なしですが…

でもこれから続く陰湿な暗殺、粛清の動機付けをどう演出していくんでしょうか?
まさか影の部分を全部土方に背負わせて、近藤は一切の謀議の蚊帳の外で爽やかなままというのではないでしょうね。

実際、近藤勇は遊里でも派手に遊んだようですし、旗本、大名になりたい野心も持っていました。(映画<壬生義士伝>の近藤勇はあまりに俗物的ですが)
香取近藤さんも少しずつ変化してもらわないとドラマに深みがでてきません。

新選組史で面白いのはドロドロした権力闘争と誠の武士道、両方が混在しているところなのですから。
権力欲と大義、一見相反するものが絡み合って、人間の歴史が造られます。
皆さんのご感想はいかに?(^_^)/

参考リンク→【大河新撰組に思う1】
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