第3回世界水フオーラム分科会

<公衆浴場文化とその再生> No2
6.基調講演 
金坂 清則氏 (コーデイネーター)
【京都大学大学院人間・環境学研究科教授】

人間活動のやその所産として都市・交通・地図・言葉を歴史地理学を主とする幅広い観点から研究。著書「トルコにおける歴史的給水」「中国奥地紀行1.2」ほか多数。
家業も大阪で銭湯だったという金坂教授。
鶴之助と同じ境遇に親近感が湧きます。

「公衆浴場と日本文化」というテーマで、日本における銭湯と生活の歴史や世界の銭湯についていろんな角度から興味深いお話がありました。

銭湯のもつ、地域のコミュニテイー機能が閉塞した社会において非常に重要で、見直されるべきであるとの力強いお言葉がありました。

最後は「さあ、銭湯へ行こう!」の銭湯奨励の言葉での締め括りが印象的でした。



鵜飼 正樹氏(パネラー)
【京都文教大学人間学部助教授】

日本の大衆演劇をはじめとする大衆芸能の世界を研究。
自らも大衆劇団に弟子入りして各地を巡業したユニークな経験がある。
著書に「大衆演劇への旅」「戦後日本の大衆文化」などがある。
7.パネルデイスカッション
金坂教授の司会で各パネラーの方々の銭湯へのお話や考察が始まる。

旅行をしたら駅前で旅館を取り、駅前の大衆食堂で定食を食べ、地元の銭湯に入るのが趣味だという庶民派の鵜飼助教授。

銭湯でのハダカの人間観察や、人間関係など刺青の話などを交えながら独自の視点から面白オカシなお話が聞けました。

この手の話なら、鶴之助も結構ネタ持ってますよ。..
鶴の湯にも是非入って下さいネ、鵜飼先生!
大場 修氏(パネラー)
【京都府立大学人間環境学部教授】

日本の伝統建築や町並みなど歴史空間を題材として、建築史・生活史を研究。
著書に「物語・ものの建築史風呂のはなし」
などがある。
銭湯建築や銭湯生活史にご造詣が深い、大場教授。

銭湯が、昔から人々の都会生活に密接に関わりをもち、娯楽や情報交換の場として重要な役割を担ってきたか、歴史的資料をもとに説明がありました。

これからは銭湯が身近にある都市生活の再生を目指して、行政とのタイアップも必要とのお話。

滋賀県の長浜の町家には、内風呂がほとんどあったのに銭湯が街中にたくさんあり、はやっていた例をあげられ、内風呂の普及が必ずしも銭湯の衰退の理由にはならないと力説されていました。


小中 晃司氏(パネラー)
【京都公衆浴場組合理事長】

家業の「山科湯」の経営の傍ら、京都の浴場組合の理事長として、銭湯の良さをアピール。
日々銭湯の新しいあり方を模索されている。
我らは京都の銭湯経営者の代表、小中理事長。

銭湯を継いで38年、ピーク時は、京都府に600軒ちかくあった銭湯が今では280軒なってしまった業界の現状から始まりました。

銭湯は、常に42℃位に浴槽のお湯を一定に保っているので良く温まるし、一人当たり水の使用量も100リットルで家庭風呂の約半分で済むとのお話。

健康と銭湯という観点から、お年よりの健康診断の場に銭湯を活用してはと、よい提案ありました。
町田 忍氏(パネラー)
【庶民文化研究所所長】

日本の銭湯研究の第一人者。銭湯を中心に庶民文化を研究。これまでに20年に2000軒以上の銭湯を制覇。著書に「銭湯の謎」「銭湯読本」などがある。
銭湯マニアなら誰もが知っている有名人、町田 忍さん。
入浴は体の垢を落すだけでなく、「浮世の垢を落す」場として、これから再評価される時期が来ているとのお話。

銭湯の再生の為にはもっとPRが大切とのご指摘がありました。

東京公衆浴場対策協議会の委員でもあり、関東の銭湯業界のブレーン的存在として活躍されている。
クリストフアー・ムンジオリ氏(パネラー)
【京都府立北桑田高校英語指導助手】

アメリカ・ミシガン州のオークランド大学で日本語と日本文化を専攻。銭湯文化にも関心。
銭湯が大好きなアメリカ人のムンジオリさん。

はじめて銭湯へ行ったときは気が進まなかったが、今ではすっかり銭湯にはまっているとのお話。

アメリカにはない、日本の素晴らしい銭湯文化をこれからも大切に守って欲しいとのこと。

アメリカ人にも銭湯の良さをわかっていただける方がいるとは、有り難いことですね。
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